祖父母の代から始まった虹鱒料理の店「おたべ」とは
私にとって、この世に産まれる前から携わってきた場所です。
幼少期、思春期、反抗期、すべて鱒と共に過ごしてきました。
母の背中を何度、見送った事でしょう…
全てが鱒!いつも鱒!ずーっと鱒!
そんな生活がとっても嫌でした。
学校を卒業して迷わず私は家を出る決意をしました。

家を出よう
鱒のない生活を送ろう

絶対に週休2日の綺麗な仕事をするんだ!
その時の私は若さも手伝い勢いで家を出て、遠く離れた地で新たな生活をスタートしました。
月日が経ち、新しい生活を楽しむ毎日を送っていたんですが…
日が経つにつれ、鱒料理が恋しくなってきた…。
鱒なんてその辺のスーパー行けば売ってるでしょ!と買いに行くと…売ってない!
鱒と鮭なんてそんなに変わらないでしょ!と買ってみるが…全然ちがう!
完全に鱒ロスだ…。
あんなに嫌だった鱒なのに、自分にとってこんなにも欠かせない食べ物だったと気づいた。

身近にありすぎて気づかなかった

・川で育った魚はあまり売られていない事
・店に生簀がありいつでも新鮮な鱒を食べさせてもらっていた事
・鱒は鱒でも虹鱒が大好きだった事
・内臓まで食べられるほど綺麗な水で育った魚だった事
・焼きたての塩焼きがすっごく美味しかった事
・新鮮な虹鱒を食べて育った自分は、他の生魚を食べれなかった事
私はこんなに鱒が好きだったんだ!
当たり前だったけど…
汚れのない綺麗な水で育った鱒は
体にも安心で、大人にも子供にも優しい食べ物だったんだ

何年経っただろうか…
母の他界
女手一つでお店を切り盛りしていた母
母がいなくなった今…
祖父母、両親が教えてくれた大好きな鱒料理を無くしてしまっていいのか…
私がやっていけるのだろうか…

続けたいと素直に思った
生まれ育ったいつもの場所が1番好きだって気づいたから

店内にはいつも水の流れる音が聞こえる
自分の好きな音楽を聴き自由に気がむくままに
綺麗な仕事でもなく、お洒落な仕事でもなく
ここ「おたべ」が私にとって贅沢で1番好きな仕事です。
鱒料理は生・焼き・炊き・揚げのどれも美味しい。
そんな料理をたくさんの方達に味わってもらいたい。

祖父母が始めた鱒
両親が教えてくれた鱒
今、私は大切に守ります
私が愛した鱒を

まだまだ試行錯誤の繰り返しですが
それも私の楽しみの一つとなっています。
受け継いだ味を大切にしつつ、新しい挑戦もしたい。
米作りがしたいヒラの平松をはじめ
想いに共感し協力してくださるたくさんの方々に応援して頂き
今よりもっと楽しいおたべを目指して
日々、進化・成長していきます!

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